施工紹介:カッパーリアリズム

「竹振り(たけぶり)」のカッパーリアリズム

 「孟宗を抜いて、竹樋にしてみたよ」と言わんばかりの、竹へのこだわりである。
 施主の求めなのか職人のチャレンジなのか。銅板で竹の節や葉の再現を試みた例は珍しくない。修学院離宮や桂離宮ほどでなくても、茶室竹樋はよく見られる。その竹等を銅板で再現することが多い。春日大社や上賀茂・下鴨神社周辺の町屋でも時々。しかし竹の根っこ部分へのここまでのこだわりは、乱暴といえば言い過ぎかもしれないが、これほどの大胆な表現は初めて。これは関東のある神社のそば、おそらく社家(しゃけ=宮司や神職を世襲する家)の家らしい。

 樋以外では、大棟にも竹の意匠はよく見られる。銅屋根クロニクルNo.39 では「多摩の銅屋根ウォッチング隠れスポット」として東京都多摩地区の妙福寺の屋根を紹介している。

 茅葺きなどの草葺き屋根の棟を竹簀で包んで仕上げる方法を、「竹簀巻き(たけすまき)」という。茅葺きの柔らかさを銅板できれいに表しているだけでなく、棟飾りが凝りに凝っている。執念の「竹振り」なのである。寄棟の左側面は、銅板による棟の竹包みがよく見える。

写真・文:JWHA 日本防水の歴史研究会

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