1. 断熱性能
熱貫流率(U値)は、 熱の伝わりやすさを表した値です。
熱の伝わりやすさを表す数値として熱伝導率がありますが、これは材料自体を評価する数値で、熱貫流率はそれに加えて、その材料の厚さも考慮して評価する数値です。
したがって、熱貫流率は熱伝導率と材料の厚さから算出します。
数値が小さいほど性能が良いことになります。また、異なる材料が複層になっている場合は総合計して計算します。
U:熱貫流率(W/㎡・℃)
λ:各材料の熱伝導率(W/m・℃)
(設定条件)
夏期外気温度:35℃
室内想定温度:30℃
※空調はしていない工場・倉庫を想定
鋼板表面色:シルバー
折板形状:H1750 タイプ
屋根構成 | 熱貫流率 U(W/㎡・℃) |
屋根表面 温度(℃) |
熱貫流量 Q(W/㎡) |
室内側表面 温度(℃) |
室内想定との 温度差(℃) |
---|---|---|---|---|---|
折板のみ (裏張り材無) |
7.06 | 48.13 | 127.96 | 42.80 | 12.80 |
折板+裏張り材 t=4 (裏張材は無機質高充填フォーム) |
3.91 | 48.13 | 70.87 | 37.09 | 7.09 |
二重折板+GW 断熱材 (グラスウールは10Kg/㎥ t=100) |
0.65 | 48.13 | 11.78 | 31.18 | 1.18 |
(当協会 計算ソフト「屋根を調べる」にて算出)
上記表での室内側裏面温度の差を見ますと、折板のみでは42℃を超えており、夏期昼間は裏面温度の上昇に伴い室内の換気が行われない場合、室温は大きく上昇することが想定されます。一般的に鋼板製屋根で、屋根材の色がこげ茶やダークグレーなど黒色に近い場合、夏期日中の鋼板表面温度は最大で70℃近くまで到達することが考えられます。 次頁、遮熱性能の効果を測定したサーモグラフィーでの温度測定でも、通常の塗装鋼板のこげ茶で表面温度は50℃を超えています。
上記算出結果を見る限り、裏張り材を張っただけでも約6℃温度上昇を抑制出来ることになります。 更に二重折板では、室内側表面温度は31℃強でほとんど室内の想定温度(30℃)に差はなく、夏期の最低気温が28℃位であると仮定すると、 夏期1日を通して、 換気をしない場合でも大きな室温変化は生じないことになります。
当協会取得の耐火認定(二重折板)の構成では、裏張り材のバリエーションが9種類認められており、建物用途に併せた選択が可能となっています。