屋根ふき材の構造計算 一般社団法人 日本金属屋根協会 技術委員会

1.屋根ふき材の構造計算の考え方

鋼板製屋根の構造設計の考え方は、『鋼板製屋根構法標準 SSR2007』に規定されていますので、そこでの考え方を紹介します。
鋼板屋根は折板屋根と瓦棒ぶきや横ぶきなど折板以外の屋根(以下、平板ぶき屋根と称します)に大別され、折板屋根と平板ぶき屋根とでは設計手法が異なります。

①折板屋根

折板屋根の場合は、通常法と簡便法の2通りの設計法があります。
通常法での検討は、折板の許容曲げモーメントや接合部の許容耐力を確認し、構造耐力上安全であることを確かめます。簡便法には折板の仕様上の制限がありますので、詳しくはSSR2007を参照下さい。

②平板ぶき屋根

平板ぶき屋根の場合は、設計荷重に応じた仕様(瓦棒の間隔、板厚など)と、ふき材に応じた下地構法、留め付け用部品等を適切に選択することによって、設計荷重に対する構造安全性が確保されます。
SSR2007の標準仕様は、実大静的載荷試験の結果に基づいて定められたもので、ここで選択された仕様は構造計算による検討結果と同等なものとして取り扱うことができます。
また、平板ぶき屋根はSSR2007で示した標準仕様以外の仕様や構法が数多くみられます。これらの仕様や工法については、製品供給業者がSSR2007に準ずる適切な耐力試験や耐風圧性試験等の試験・評価を行って提示した製品カタログ上の仕様も、SSR2007の標準仕様と同様に、設計荷重に対する耐力性能が確かめられたものとして同様に取り扱うことができます。
SSRに規定されていない「一文字ぶき」については、動風圧試験を行い許容耐力を提案 しました。

なお、建築確認申請時に必要となる構造計算書は、建築基準法施行令第82条の4に規定する風圧力に対する構造安全性を確認するものですが、設計荷重の組合せにしたがって、風圧力以外の積雪荷重等も考慮した安全性確認を行うことが望ましいといえます。

SSR2007の内容と確認申請図書の種類の関係を以下に示します。

図書の種類 明記すべき事項 SSR2007の参照節*1
折板屋根 平板ぶき屋根
使用構造材料一覧表 屋根ふき材に使用されるすべての材料の種別(規格がある場合は当該規格)及び使用部位 2.2節 3.2節
使用材料の許容応力度、許容耐力及び材料強度の数値並びにそれらの算出方法 2.3節
4.2~4.3節
荷重・外力計算書 風圧力の数値及びその算出方法 1.4節
応力計算書 屋根ふき材に生ずる力の数値及びその算出方法
屋根ふき材等計算書 令第82条の4に規定する構造計算の計算内容 2.1.2節
2.4節
(3.3節)*2
(注)*1 折板屋根については付1.1~1.3、平板ぶき屋根については付1.4に掲げる設計例も参照されたい。
*2 3.3節に掲げる標準仕様を選択することにより、設計荷重に応じた瓦棒の間隔等を決定する。

2.風圧力の算出

風圧力は、建築基準法施行令第82条の4及び同条に基づく平成12年建設省告示第1458号の規定に基づいて算出します。当協会発行の計算ソフト『屋根を調べる』において計算が可能です。風圧力関連規定の解説については、当協会発行の『風と金属屋根』の第3章を参照下さい。

3.折板屋根の強度計算

建築基準法の規定に基づいて算出した風圧力に対して、通常は以下の方法によって構造耐力上安全であることを確かめます。『屋根を調べる』において計算が可能です。

折板各部並びに折板と構成部品との接合部又は構成部品同士の接合部について、それぞれ以下の方針に基づいて設計する。ここで、折板の許容曲げモーメントはJIS A 6514に規定する曲げ耐力試験、接合部の許容耐力は第4章に定める耐力試験をそれぞれ行って得るものとする。

  • 設計荷重の組合せによって折板各部に生ずる曲げモーメントが許容曲げモーメントを超えないよう、かつ、そのたわみがスパンの1/300(片持梁にあっては1/200)を超えないこと
  • 設計荷重の組合せによって接合部に生ずる力(圧縮・引張り)が当該接合部の許容耐力を超えないこと

4.平板ぶき屋根の強度計算

SSR2007で示した標準仕様は、以下をご覧下さい。
ここに示した以外の仕様や構法については、それらの製品供給業者にお問合せ下さい。

鋼板「一文字ぶき」の許容耐力

5.構造計算書作成のための参考資料

S折板屋根と平板ぶき屋根の構造計算書の例を以下に示しましたので、構造計算書作成時の参考資料としてお使い下さい。

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