No.86
(1/1) ルーフネット 森田喜晴
萱野神社(かやのじんじゃ)は、滋賀県大津市JR瀬田駅にある神社。神紋は「蓑(みの)亀」。「九帝王宮(九帝王社)」「九大王社」とも称される。
今でこそ、普通列車しか止まらない駅に面した小さな神社だが、かつては各時代の武将や代々の膳所城主さらに広い地域の氏子たちの崇敬を集め、境内地は一町四方に達し、うっそうとした森林の神域であったという。しかし明治21年、国鉄東海道本線の設置により境内地を二分に斜断されて参道も半分となり、多くの社殿が移築された。さらに昭和44年に国鉄復々線の増設と瀬田駅の新設に伴ない末社及び神輿庫などを移築したので益々狭い境内地となり、対面の森林も駅前広場となって全く昔の面影を失ってしまった。
それでも、駅に近い裏参道の鳥居の前に立つと、往時の気配がわずかながら感じられる。
祭神は開化天皇。神社の由緒書によると、彦坐王命(開化天皇の皇子)の第四世に当る治田連(はるたのむらじ)が、淡海の国造*としてこの地に居住し、一円の墾田開拓に当り、土地の開発と人
民の生息の基を開き、雄略天皇六年治田一族の遠祖となる開化天皇を祀ったのが創祀とされる。
裏参道
社号も明治二年に萱野神社と改められた。神紋「蓑亀」の由来は、「和銅八年天下旱魃にて作物成長せず、農民皆雨乞祈願をした。その時、里の山中の洞穴より霊亀這い出して大雨沛然と降り作物は蘇生した。この亀は左目白く首赤く背三に分れ、七星の紋ありという、亀のいでたる所を大亀川又は老上川、現在は狼川という。」
境内には石彫の蓑亀が据えられ、正月には藁の蓑亀が注連縄に下がる。
本殿の妻側。
本殿は-一間社流造、間口一間三尺、奥行一間
境内社の金毘羅宮から本殿
*:「近江」の名称と由来
近江は、『古事記』では「近淡海(ちかつあはうみ)」「淡海(あはうみ)」と記されている。
拝殿は切妻造、間口三間、奥行三間。
社務所の注連縄に蓑亀。
注連縄に飾られた神紋となっている蓑甕。
石彫の霊亀。
*:国造(くに の みやつこ、こくぞう、こくそう)は、古代日本の行政機構において、地方を治める官職の一種。また、その官職に就いた人のこと。軍事権、裁判権などを持つその地方の支配者であったが、大化の改新以降は主に祭祀を司る世襲制の名誉職となった。
アクセス:滋賀県大津市大萱2-21-1
最寄駅:西日本旅客鉄道(JR西日本)
琵琶湖線(東海道本線)
瀬田駅 (徒歩すぐ)