銅屋根クロニクル

No.54

昭和の勅祭社はかるたの聖地 近江神宮(滋賀県)

(1/1) ルーフネット 森田喜晴

近江神宮は第38代天智天皇を祀り、天智天皇の古都・近江大津宮跡に鎮座する。全国16社の勅祭社の1社であり、4月20日の例祭には天皇の名代として宮中より勅使が遣わされる。

鎮座は昭和15年11月7日であり、神社としての歴史は新しい。境内地は約6万坪。社殿は近江造りあるいは昭和造りと呼ばれ、山麓の斜面に本殿・内外拝殿を回廊が取り囲み、近代神社建築の代表的なものとして、平成10年より国の登録文化財として登録されている。

外拝殿

小倉百人一首の巻頭の天智天皇の歌、「秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露にぬれつつ」は広く国民に親しまれ、歌かるたの祖神としても仰がれる。近江神宮ではかるた祭―かるた開きの儀―も行われているが、近年は百人一首競技かるたが漫画やドラマでも取り上げられるなど、ことに正月の名人位クイーン位決定戦はよく知られるところとなってきた。境内には奉納された板かるたの額も展示されている。また、人気コミックで映画化もされた「ちはやふる」の舞台となったことから中高生をはじめ若い世代からも、「ちはやふる」の聖地巡礼スポット、かるたの聖地として人気が高まっている。

内拝殿

廻廊で奉納される舞楽

左廻廊

廻廊から内拝殿の屋根越しに檜皮葺本殿の千木・鰹木が見える

楼門。右奥が宝物館

右廻廊

本殿の屋根

天智天皇(天命開別大神 在世626-671年)は第34代舒明天皇の皇子(中大兄皇子)、645年、皇太子として藤原鎌足とともに大化改新を断行した。特に天智称制6年(667)都を奈良の飛鳥より近江大津宮へ遷し、その後わが国憲法の源をなす「近江令」を制定、学校制度を創始して国民教育の道を開き、また戸籍の制定(庚午年籍)土地制度の改革(班田収授)、漏刻(水時計)を設置し、時の制度を導入した。

神楽殿

近江神宮の社殿は手水舎の右側、二の鳥居から見上げる朱の楼門から始まって、外拝殿、内拝殿、廻廊、神楽殿、宝物館、はじめ本殿以外すべての屋根が銅板の一文字葺きである。内拝殿前のゆったりした廻廊、拝殿の中、燃水祭で舞楽を奉納する舞人の鮮やかな衣装は、雨に濡れた銅屋根と見事に引き立てあう。

実は、近江神宮はルーファーにとって、特別な神社である。そのわけは次号で。

所在地: 大津市神宮町1-1
JR 湖西線 「大津京駅」 下車 徒歩 20 分。
京阪電鉄「近江神宮前駅」 下車 徒歩 10 分

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