No.37
(1/1) ルーフネット 森田喜晴
昭和8年11月、東京都美術館に次ぐ日本で二番目の大規模公立美術館として設立。昭和3年に京都で挙行された天皇即位の大典の記念事業として、関西財界や市民の協力により「大礼記念京都美術館」の名称で開設された。 戦後は一時駐留軍に接収されたが昭和27年、接収解除により京都市美術館と改称した。
京都市は京都市美術館再整備事業として2019年に新館建設などリニューアルを実施するのに合わせ、概算工事費100億円の半分50億円の獲得と美術館の愛称を決める目的で命名権の募集を実施し、10月6日、同市伏見区に本社を置く京セラに命名権を売却することを決定した。再オープン後の名称は「京都市京セラ美術館」となる。本館は外観を維持したまま全面リニューアルされる。
「日本趣味を基調とすること」という条件を満たすために、正面中央に桃山風の千鳥破風を設け、洋風のベル型の棟飾りが載る。背面大棟の露盤宝珠(ろばんほうじゅ)、さらに車寄せの上の擬宝珠(ぎぼうしゅ・ぎぼし)の様なフィニアルなど日本趣味満載だ。
長い大棟には瓦棒2つ分の四角い飾りがリズミカルに並ぶ。日本趣味という制約の中で、デザインの工夫と遊びが見て取れる。
京都市によると、公募にあたっては山本春挙,菊池契月ら美術家,伊東忠太,武田伍一ら建築家を中心とする委員会が設けられ,建設場所の選定を行うとともに,設計案を公募することを決めた。当初は,京都御所内に建設すべきとの意見もあった。
応募設計案は196通に達し,その中で1等の前田健二郎案を部分的に修正したのが,現在の建物である。
開館当時に発表された建築概要は以下の通り。
費 総 額 百〇七万円
建築様式 日本趣味ヲ基調トセル近世式
建築構造 二階建鉄筋骨混凝土造
建築坪数 建坪千四百梁八坪 延坪二千八百三十二坪
構 造 中央大陳列室ハ鉄骨混凝土造其他ハ鉄筋混凝土造屋根小屋組ヲ鉄骨造トシ床版壁体,階段等主要部ハ 鉄筋混凝土造トス
京都市美術館別館は、昭和5年(1930)に京都市公会堂東館として建てられ、昭和39年(1964)からは京都会館別館として用いられていた建物を、和風の外観を残しながら、内部を全面改修して、平成12年(2000)に開館した。