No.30

重文・京都ルネサンスの館は桜の名所
京都府庁旧本館(京都府)

(1/1) ルーフネット 森田喜晴

明治37年(1904)12月20日に竣工した京都府庁旧本館は、昭和46年まで京都府庁の本館として使用された。現在も執務室や会議室として活用されており、創建時の姿をとどめる現役の官公庁建物としては日本最古のもの。平成16年(2004年)12月10日に国の重要文化財に指定された。
 ルネサンス様式の建物で、正面の一段高い屋根を中心として両翼に対称に張り出した形となっており、近世ヨーロッパの館といった感がある。建物内部は和の技術が取り入れられており、内部の設えは建築よりも、むしろ工芸品といった趣だ。

京都府庁旧本館の贅沢な桜

国の重要文化財である旧本館の建物に四方を囲われた中庭で咲き誇る6本の桜も、建物には負けていない。中庭から四方を見渡せば、レンガと花崗岩と擬石モルタルの壁。銅板とスレートの屋根を背景に堂々たるというより、華麗な枝ぶりの桜が堪能できる。数年前から、旧本庁舎は観光パンフに大きく載るようになったのだが、それまでここは隠れ名所だったそうだ。

京都府庁旧本館

京都府庁旧本館

京都府庁旧本館

中央で艶やかな姿を映すのが円山公園の初代「祇園しだれ桜」の孫にあたる実生木である。不均一な厚みの窓ガラス越しに薄紅色の花弁が揺らぐ。

中庭南西に佇むのが「容保桜(かたもりざくら)」。 この地が京都守護職上屋敷跡であったことから、松平容保公の名をとって命名された。名づけ親は桜守として知られる16代佐野藤右衛門。大島桜と山桜の特徴を併せ持つ珍しい品種だという。

下から見上げた視線では銅板屋根は見えず。飾り金物や、軒先、樋、スレートを縁取る棟のみで、いず

れも緑青はまだ吹いていない。この時点でのくすんだ銅屋根が雨で濡れた色は格別だ。桜の背景としては緑青よりも落ち着きがある。

建物の概要
構造・練瓦造一部石造地上2階建(一部地下室付)
屋根・天然スレート葺一部銅板瓦棒葺
建築面積・2,822平米 延床面積・6,099平米
工期・明治34年11月9日~37年12月20日