No.20

大崎八幡宮(宮城) ─国宝の杮葺き社殿を縁取るホネ太の銅棟─

(1/1) ルーフネット 森田喜晴

大崎八幡宮

安土桃山時代の我が国唯一の遺構として国宝建造物に指定された社殿。

大崎八幡宮の社殿は、仙台藩祖・伊達政宗の命により慶長九年から十二年にかけ、豊臣家お抱えの、当時最高レベルの匠達によって造営された。権現造りのこの社殿は安土桃山時代の我が国唯一の遺構として国宝建造物に指定されている。

豪華な金の妻飾りがあっても、それが目立ち過ぎないのは、杮葺きと、重厚な銅板包みの笠付き大棟が全体を引きしめているからだろう。

向拝の唐破風の上にも立派過ぎるほどの笠付き棟が載る。

これ程までに棟が目立つのだが、特に棟の背が高いわけではないという。大きく見えるのは傘が付いていることと、杮の軒積みが薄いことによる、と思われる。北国故に勾配を大きくとるため、京都などの杮葺きの屋根と比べて、軒先の厚みは薄くなる。 厚くなれば勾配が緩くなってしまうからだ。その結果、相対的に棟のヴォリューム感が出るということらしい。

本殿と拝殿が石の間を介してつながる権現造。両側の屋根を流れ落ちる雨水を集め排水する谷樋の役割は大きい。

豪壮な棟包みに対して、華奢な軒樋だ。それでも雪の重みに耐えられるよう、丁寧な取り付けがされている。しとしと雨を流すにはこれで十分ともいえるし、杮葺きや桧皮葺きは、瓦・銅板葺きのように一気に大量の雨は流れないわけだから。

こちらは樋の繊細さが際立つ部分だ。軒樋は屋根の軒先のラインに寄り添い、鮟鱇(あんこう)から竪樋へ、ひねりを加えてリズミカルにつながる。

本殿と同時期に建てられた重文の長床。装飾は全くないが構造は本殿同じだ。右奥に銅板一文字葺きの祭儀棟(寺務棟)が見える。

撮影は2014年秋。雨に濡れた杮と銅板。素材の美しさがさらに引き立つ。