No.110
(1/1) ルーフネット 森田喜晴
京都市内から車で亀岡を超え、国道372 号線・通称デカンショ街道を走り、丹波篠山市を目指す。市街地に入る手前で少し休憩しようと、スピードを落とすと、鳥居が目に留まり、車を止める。住吉神社の扁額を掲げた石鳥居をくぐると、右手には小振りだが、瓦屋根の立派な鐘楼。そしてこんなところに?というと失礼だがコンパクトで美しい銅屋根の社が佇む。神宮寺の痕跡をしっかり残した神仏混交の社だ。
「住吉神社」(すみよしじんじゃ)は古く平安時代の永保元年(1081)に後三条天皇・白河天皇・鳥羽天皇などに仕えた公卿、大江匡房によって創建されたと伝わる神社。境内にある、元は茅葺きであっただろうふっくらとした銅板葺き屋根の書院が建っている。その書院の表と裏に、昭和41 年(1966)に京都の庭師・重森三玲によって作庭された枯山水庭園が広がる。
神社の立つ場所は、国の重要伝統的建造物群保存地区となっている丹波篠山市・福住地区で、篠山藩主が京へと向かう西京街道の宿場町として栄えたこの地域の中心にある。
社名の通り、主祭神は住吉大神。航海の神、農業・産業神、和歌の神。付近はもともと川筋であったことから、水害の防止と豊作を祈って、創建したのではないかとされる。足利11代将軍義澄の時、一品式部卿邦高親王が参詣したという。領主の仁木氏や籾井氏の保護を受け、歴代篠山城主も崇敬してきた。寛文2年(1662)には、城主松平康信が本殿を修復し、総欅造りの鐘楼と釣鐘及び神田などを寄進している。毎年、7月30、31日の例祭は、水無月祭と呼ばれ、6台の山車が宮入りして「打込囃子」を奉納する。



書院

住之江の庭
篠山市のこの一帯は、村ごとに住吉神社が鎮座している。それはかつて摂津住吉大社の 荘園「小野原荘」であったことによるそうだ。鎌倉時代の文保年間(1317~19)に、小野原荘の氏神として 住吉大社の分霊が小野原の地に勧請、創建された。さらに近隣に分祀されたことで住吉神社がおおいに広まったという。
もと神宮寺の書院の表と裏に、重森三玲によって作られた名庭園・「住之江の庭」がある。枯山水の石庭で、四国の青石を蓬莱仙島に見立て、白川砂が三段階の大波を、竹垣は網干しを表現しているという。この庭園は2019年より地元の一級造園技能士の指導のもと、一般参加型の修復ワークショップにより「住之江の庭」が修復された。2020年に兵庫県指定名勝を受ける。
アクセス:
兵庫県丹波篠山市川原270
舞鶴若狭自動車道 丹南篠山口ICより約25分
常時開放(「住之江の庭」はイベント時のみ開放)