No.11

日光東照宮(栃木)

(1/1) ルーフネット 森田喜晴

徳川の権力の象徴は黒と金の世界。

日光東照宮(栃木)

東照宮陽明門(ようめいもん)【国宝】。その入り口は極彩色の装飾で覆われている。

日光東照宮は徳川家康の霊廟として元和3年(1617年)に創建されました。「日光を見ずして結構といえぬ(河竹黙阿弥)」と称されるほどの「豪華絢爛」、人によれば「コテコテ」、あるいは「寛永バロック調」になったのは、寛永13年(1636年)、三代将軍徳川家光の造営によるものです。その極めて「濃い」様相に結構貢献しているのが黒漆を塗られた銅板屋根と鮮やかな緑青の樋(とい)です。

建物はもちろん内外装の装飾についても、徳川の権威を示すために高価な材料と当時の最高水準の技術が用いられました。屋根には高価な銅瓦を使用しその上には黒漆を施すという意匠もその一つです。もっとも創建時には屋根葺き材として檜皮と銅瓦が使い分けられていました。

宇都宮大学の小西敏正教授(当時、現・札幌市立大学教授)によれば、「本殿,拝殿,唐門,陽明門など中央部分は古来、格の高い屋根材料である檜皮葺で,その他の建物は銅瓦で葺かれていた。その後,山内で火事があり危うく東照宮を焼失するところであったことから,承応3年に全て銅瓦に葺き替えられている(「建材試験情報」2007年8月号)」そうです。

唐門(からもん)【国宝】

陽明門や唐門の派手さとは裏腹に、こちらから見ると銅板黒漆の屋根と金装飾は端正で品格を感じさせる。荘重な屋根のラインが連なる。

宝蔵や将軍だけが昇殿を許される奥宮拝殿は屋根のみならず建物全体が銅板で覆われ、さらに黒漆が塗られている。入口である鋳抜門は唐銅の鋳物に黒漆を塗った屋根、柱、扉のパーツを組み立てたもの。恐るべき銅屋根だ。

唐門の唐破風を忠実にトレースする軒樋。蛇のような蓑甲を縁取るような軒樋は、樋マニアには嬉しいが、ここまでやると普通は「くどい」と感じるだろう。

全体を見ると「やり過ぎ感」はあるもの、唐破風の一部を切り取れば、黒漆の銅屋根、ジェットコースターのような緑青の樋、龍の飾りや金箔の組み合わせに、江戸趣味の良さが感じられる。

東照宮のHPによると現在の社殿群は、そのほとんどが創建20年後の寛永(かんえい)13年(1636)に建て替えられたもので、陽明門(国宝)など55棟。その費用は、金56万8千両、銀百貫匁、米千石(『日光山東照大権現様御造営御目録』より)を要したそうです。社殿群は平成11年12月「世界文化遺産」に登録されています。