No.108
(1/1) ルーフネット 森田喜晴
紅葉の永観堂と称えられる、全国的にも珍しい本尊「見返り阿弥陀如来」でも知られる京都・永観堂の正式名称は、聖衆来迎山 無量寿院 禅林寺(しょうじゅらいごうさん むりょうじゅいん ぜんりんじ)。第七世永観律師にちなみ“永観堂"と通称される。
紅葉と同じ、人によってはそれ以上に美しいと言われる、新緑の青紅葉。そしてもう一つ見逃せないのが、御影堂と開山堂を結ぶ階段廊下・臥龍廊(がりゅうろう)だ。
山の斜面に作られ、龍が体をうねらせているかのような形で登ってゆく。その中を歩くと、「龍のお腹の中を歩いているような感覚になる」と言われているのだが、モミジに覆われた急こう配の曲線階段を登れば、そんな気持ちになるのかもしれない。創建当時、臥龍廊は境内の全ての堂宇も結ぶ階段廊下だったが、相次ぐ戦乱で荒廃し、現在の御影堂の裏手から開山堂を繋いでいる臥龍廊は昭和になってから、一部を再建したもの。高台寺にも同じ様な臥龍廊があるが、こちらは直線的で、屋根も瓦葺きだ。永観堂の龍の回廊は、釘を使わずに組木だけで造られている。
イメージとしては、始発駅の御影堂から屈曲するケーブルカー「臥龍廊」でのぼり、終点の山頂駅が「開山堂」。
ここでおりてさらに急な階段を登ると、山頂の「多宝塔」、という感じである。多宝塔は上部は円形、下部は方形の二重の塔。この足元が小さな展望台になっている。京都市内の平安神宮など岡崎地区を見下ろし、その先、反対の西側の山並みには五山送り火の「左大文字」「鳥居」が見える。
永観堂禅林寺のほとんどの堂宇が瓦葺という境内にあって、山頂付近の多宝塔と開山堂、そして龍の背中に例えられる臥龍廊の屋根だけが銅板葺きだ。
京都でも有名な観光スポット「哲学の道」の出発点付近に位置する禅林寺が建てられたのは平安時代。もとは藤原関雄の山荘で、空海の弟子である僧都・真紹が真言宗の道場として開いた。鎌倉から室町時代かけては源頼朝の支えで寺院は反映するも、応仁の乱以降大きく衰退、復興は、江戸時代までかかったと言われている。

山頂付近の多宝塔。

開山堂

臥龍廊の終点、開山堂からさらに急階段を登ると多宝塔(パゴダ)に到る。

歩いてみると、曲がりくねった急こう配を実感できる。
永観堂の七不思議とは
永観堂の七不思議のひとつが、臥龍廊。他には、抜け雀や悲田梅、火除けの阿弥陀如来、三鈷の松、木魚蛙、岩垣もみじ、など。
アクセス:
京都市バス 東天王町・ 宮ノ前町・南禅寺・永観堂道下車、徒歩8分程度