No.2
(1/1) ルーフネット 森田喜晴
「銅屋根クロニクル」第2回目は、大阪府の大坂城天守閣です。
豊臣秀吉が1583年に築いた大阪城は、1931(昭和6)年、大阪市民の協力を得て復元された。施工は大林組。復興した天守閣もその後60数年の歳月を経て老朽化が進み、平成7年から9年(1995 ~ 1997)にかけて大規模な改修工事が行われた。この「平成の大改修」で、天守は往時の黄金の輝きと白漆喰の鮮やかさを取り戻した。
改修工事では、建物の老朽化への対応や耐震補強、屋根改修、外壁・軒天井コンクリートのアルカリ化回復工事、建具・手すり・飾り金物の改修、柱・壁の炭素繊維の補強などが行なわれた。使用されていたのは0.6ミリの銅板。
この改修工事で屋根を担当したのが小野工業所の技術部門の責任者を長年つとめた斉木益栄さん。斉木さんは日本銅センターや日本建築学会において、銅板屋根に関するマニュアルや仕様書の作成を担当してきた。その当時の経験を(一社)日本金属屋根協会機関誌のインタビューで大江広報委員長に次のように語っている。
鳩のフンが大量に付着していた。工業用掃除機で簡単に取れ効率は良いが、吸引力が強すぎて、それでは緑青まで剥がれてしまう、銅瓦の緑青の色はすでに大阪城のシンボルになっている。そこで家庭用掃除機で1枚づつきれいにした。その数5万5千枚。一枚一枚たたいて整え再使用した。
伏虎と鯱は一時撤去の上、修理されて純金箔を3度押し、その他の錺(かざり)金物は2度押しされて改めて取り付けられた。
銅瓦で瓦と同じ段差を作る。大規模な現場での試みは恐らく日本初。